原野商法ー不動産取引にかかる裁判例(5)

今回もRETIO(不動産適正取引推進機構)が公表している不動産取引にかかる裁判例についてお話ししていきたいと思います。

原野商法という言葉を知っていますか?「原野商法」とは、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について「将来高値で売れる」などと勧誘して不当に買わせるもので、1970~1980年代にかけて被害が多発した詐欺事件です。

今回RETIO(不動産適正取引推進機構)に紹介されている事案は、以下の通りです。

不動産会社Yは被害者Xの所有する甲土地を「市場より良い値段で買いたい。購入に合わせて、Yが所有する乙土地をXに買ってもらう取引をセットとして行いたい。乙土地は現在980万円で買いにきているが、Xには540万円で販売する。」という甘い言葉から始まり、不動産会社YはXの土地を買うことなく、価値のない自分の土地を言葉巧みに売りつけたものです。

原野商法の二次被害における勧誘手口(政府広報オンラインより)

今更「原野商法」かと思いますが、国民生活センターの調査によると、ここ10年原野商法は1000件以上発生しているそうです。特に、1970年から1980年に被害にあった方が再度被害にあうケースが多く2次被害になっています。1件当たりの被害額も大きくなる傾向にあるようです。また、詐欺の手口も巧妙になっています。

原野商法の二次被害トラブルの年度別相談件数(政府広報オンラインより)

今回の事例は、原野商法で土地を売りつけられた方ではなく、相続により取得した方なので2次被害ではありませんが、相続により取得した土地を、市場よりいい価格で買いたい人がいると声を掛けられ、別の土地を買わされた典型的な「原野商法」です。

本件は、「政府広報オンライン」https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201806/2.htmlにも詳しく掲載されています。悪い奴は決して消えることはありません。

どんな時でも「甘い話」には注意しましょう。