『民主主義を疑ってみる』

今回のブックレビューは、「民主主義を疑ってみる-自分で考えるための政治思想講義」です。

筑摩書房ではこの本を以下のように紹介しています。

近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。民主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。

本書刊行時の紹介文より

僕は大変面白く読ませていただきました。良い本です。

民主主義の問題はポピュリズムと政治への無関心だということが述べられています。本書でいうポピュリズムとは、大衆迎合主義、衆愚政治に近いものであり、国家(国民)にとって必ずしも利益にならないことでも、国民が喜ぶ政策を行うこと。政治への無関心とは、言葉通り、国民が政治に対して意思を示さないこと。

翻って、今の日本の現状を考えた場合、日本における民主主義の状況が心配されます。

本来ならば、現行制度のひずみを解消して、国家が健全に成長できる制度・体制にしていくことが政治にとって重要であるのに、国民のご機嫌取りのようなバラマキと言わざるを得ない補助金、給付金の支給ばかりが目に付く政策。日本の国政選挙、地方選挙の50%に達するか達しないかの投票率の低さは政治への無関心の表れでしかありません。

民主主義がしっかりと機能する社会は、施政者にとって政治がやりやすい環境ではありません。それは国民がしっかりと政治を監視するからです。国家が国民を監視する社会ではなく、国民が施政者・政治を監視する社会にならなければ、いい社会にはなりません。 裏金問題は国会で議論するに値しない内容です。裏金問題を国会で議論しなければいけないほど日本は堕落しています。日本の中高教育の中で、国民が政治リテラシーを身につけるための科目を設けることが重要だと、この本を読んで思いました。

ちくま新書「民主主義を疑ってみる  自分で考えるための政治思想講義
著者 梅澤 佑介(本文)  発行:筑摩書房
新書判 368ページ  定価 1,200円+税
書店発売日2024年2月8日