『伊勢物語』

今回のブックレビューは、「伊勢物語」です。

伊勢物語って、授業で読んだけど、中学だったか高校だったか定かではない。

作者不詳、全125段、とても短い一話完結の話が前後の関連があるかもわからない感じで並んでいます。

原文読んで、訳文読んで、原文に戻って、また訳文よんで、途中に注解を参照してみたいな感じで、少しずつ読んでいます。そのため、栞が2枚必要です。(笑)

一話一話は、数行から長くても数十行程度。物語は「こんなことがあったのさ。」見たいな感じで、非常に簡潔に書かれています。簡潔に書かれている分、物語を深く理解することが難しいと感じます。この物語のメインはきっと「歌」なんでしょうね。よくわからないけど。

私が学校で習ったのは、第九段、通称「東下り(あずまくだり)」と言われている段です。今も多分そうではないでしょうか。学校で勉強した箇所だからか、この個所は訳文を読まなくても、記憶がよみがえり、理解することが出来ました。

読んで分かりにくいのは、人物を固有名詞で言っていないこと(むかし、男ありける。)と、現代人がその人たちがどのような人であるかを知らないことも大きいのだと思います。

あのおうちの若様が、家の2番目のお嬢様に手を出しちゃいましたという話なので、それぞれが、どのような家のどのような人だということがわかっていると、面白いのでしょう。この時代の人はそれがわかっているので状況をよく理解できて面白いのでしょう。

それにしても、この物語を読むと、この時代の男も女も結構好き勝手な恋愛をやっていたように感じてしまいます。「どうしてあなたはいらっしゃらなくなったの。」という歌を詠んだ女には、別に男がいました。という話もあります。今の私たちにはなかなかわかりにくい価値観や婚姻制度だったのかもしれません。 いろいろ言いましたが、気の利いた歌を詠んで、品があるように見せているけど、プレイボーイの女遊びの話ですからね。

角川ソフィア文庫『新版 伊勢物語 付現代語訳 』
石田 穣二(著/文) 出版元 KADOKAWA
文庫判 352ページ 定価 720円+税 
初版年月日1979年11月30日 書店発売日1979年11月16日