『共産党宣言』
今回のブックレビューは、「共産党宣言」です。
岩波文庫の表紙では、「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という有名な句に始まるこの宣言は,階級闘争におけるプロレタリアートの役割を明らかにしたマルクス主義の基本文献.マルクス(1818―83)とエンゲルス(1820―95)が起草,1848年の二月革命直前に発表以来,プロレタリア運動の指針となった歴史的文書である。と紹介されています。
岩波文庫で60ページしかないとっても薄い本です。けど、このとても薄い本が、20世紀に世界を二分するきっかけとなったことを考えると感慨深いものがあります。
ところで、「共産党」や「共産主義」という言葉を発すると日本では、変な目で見られがちです。なので、最初に言っておきますが、私は共産主義者ではありませんし、ロシアや中国を健全な国家とは思っていません。きちんと言っておかないと、今の日本においてでさえ国家公安局からマークされそうで。(笑)
この本が書かれた時代は、革命によって社会を変えていくという考えが必要だったのでしょう。しかし、150年経った現在、資本主義国家は、革命という暴力を使わず、ソフトランディング的にプロレタリアートの地位を向上させています。歴史の授業でも習ったけど、資本主義国家は、社会主義国家への対抗?として、資本主義の在り方を修正した修正資本主義政策をとりました。社会主義の良いところを資本主義に反映させていくことで資本主義を維持したのです。
一方、理想を掲げて設立された共産国家は独裁国家に変貌していきました。プロレタリアート全体が力を持ったのではなく、一握りのプロレタリアートにのみ力が集中したためでしょう。
マルクス・エンゲルスは「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という言葉を共産主義によって終わらせたかったのでしょう。けれど、ブルジョワ階級をプロレタリアート階級が倒したとしても、そこに理想郷は現れず、新たな闘争が始まってしまいました。現在の共産主義国家の多くが独裁国家であることを考えると、むなしさを覚えます。人は理想では生きてはいけない生き物ということを感じます。
もうずいぶん前にビートたけしが「日本は最も社会主義的な国だ。」とテレビで言っていたことを思い出しました。
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