『情報生産者になる』
今回のブックレビューは、「情報生産者になる」です。
この本の紹介は、
情報があふれかえる時代、しかし、それを消費するだけではタダの情報グルメや情報ディレッタント。価値のある情報を生産し、発信する側にまわる方がずっとおもしろい。オリジナルな問いを立て、過去の研究に学び、一次データを収集し、それに分析を加え、アウトプットするまでの一連の過程を、具体例を交えながら解説。あまたの人材を育ててきた教育者として、新たな知を生み出す技法を惜しみなく公開する。この一冊で、あなたも情報生産者になれる!
筑摩書房紹介文より
というものです。
基本的な内容は「上野千鶴子ゼミの論文の書き方」をまとめたものですが、本の帯には「発行部数5万部」と書かれています。
出版業界不況の中、この本が5万部も売れているのは、いい意味で驚きです。
はっきり言って、この本を読んで論文が書けるようになるとは思いません。当然、情報生産者になれるわけありません。なぜなら、論文が書けるようになるためには、この本の中で書かれていることを「実践」する必要があるからです。
私はこの本に書かれている論文作成までの過程を少なくとも文系の大学に通う学生は行うべきだと思います。学生の段階でこのスキルを身に着ける(身につけることが出来なくても経験する)ことは、社会に出てからの働き方、スキルがまったく違うはずです。この本は、論文を書くという一つの作業を通して、様々な問題、意見、問いについて考え、解決方法なりを生み出していくスキルを身に着ける術を教えてくれます。会社で企画をする人、営業をする人さまざまな人がいますが、ほとんどの人にとって有益なスキルとなります。当然、自営業者や経営者にとっても必須のスキルだろうと思います。
ここで書かれていることを学生時代に経験していたなら、私のサラリーマン生活がずいぶん違っただろうと読みながら思っていました。私も一応東証一部の会社に勤務していましたが、この本に書かれている経験・スキルを身に着けていた人はほとんどいませんでした。
是非、日本の教育機関において、教育のカリキュラムに組み入れていただければと思います。 大変いい本ですが、読むだけではだめです。実践が必要です。
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