『「日本」ってどんな国?』


ちくまプリマー新書

本田 由紀(著/文)

発行:筑摩書房
新書判 272頁 ISBN978-4-480-68412-7
定価 920円+税
書店発売日2021年10月7日

書影:WEBサイト「版元ドットコム」より

今回のブックレビューは、『「日本」ってどんな国? ─国際比較データで社会が見えてくる』です。著者は、本田 由紀さん。東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学。と紹介されています。残念ながら、私は東大に縁がないので存じ上げない方です。(笑)

併せて、「ちくまプリマー新書」についても、私にとってなじみがないものでしたのでどのようなコンセプトの新書なのかを調べてみました。

「ちくまプリマー新書」は「プリマー=入門書」という名にふさわしく,これまでの新書よりもベーシックで普遍的なテーマを,より若い読者の人たちにもわかりやすい表現で伝えていきます。彼らの知的好奇心を刺激し,それに応えられるものを目指します。と書かれてありました。「岩波ジュニア新書」的なものでしょうか。

本書は、特定の社会領域(家族、ジェンダー、学校、友達、経済・仕事、政治・社会運動の6つ)に焦点を当てて国際比較データをできるだけ使いながら、日本という国の特徴をあぶりだすことを目的としています。という風に著者は言っています。

日本に暮らしている私たちは、日本しか知らないので日本が特別変わった国であるとは感じにくいものです。先進国に属する国ですから、世界的に見て経済的にも裕福な国で、78年間戦争もなく過ごしてきたので、著者が言う「変な国」「ヤバい国」という感覚はなかなか実感しにくいものです。

しかし、国際比較データで見た場合、相当変わっているところがあることは事実のようです。極東にある島国で、150年前まで鎖国をしていた国であることを思い出すと、変わったところが多い国であることは間違いないと思います。言葉も「日本」でしか使えない「日本語」を使う国です。文化的に世界の国と比較して異なったことが多くあることは当然だと思います。

このような本を読むとき、注意しないといけないことは、国際比較データにおいて「平均の国」は存在しないということです。項目によって上位にあったり、下位にあったりすることは当たり前のことです。また、項目の上位にあるからいい国、下位にあるから悪い国という判断を行うと、誤った判断をしてしまうかもしれません。データが適切なものであることを前提として、まずはそのデータが示す事実を把握し、なぜそうであるかということを、歴史的、社会的、文化的な観点から検討し、どのような理由・背景があり、そこに位置するのか。どのようにしたら改善を図ることができるのかを考えることが大切なのだろうと、この本を読みながら思いました。 皆さまにも、いろいろ考える契機にしていただければと思います。

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