行為能力について

先日還暦を迎えたことをお話ししましたが、還暦を超えると「ボケ」が怖くなってきます。周りの方は皆さんしっかりしていますし、私の銀行時代の先輩方も皆さんしっかりとされています。

しかし、統計的には、年齢を重ねるたびに認知症発生率は確実に高くなっていきます。80歳を過ぎると5人に1人は認知症になり、以後は急激に上昇するようです。

認知症になることは仕方ないのですが、認知が進むと行為能力がないと判断されます。よくあるのが、認知症になったため、行為能力を認められないとして不動産を売却できなくなるケースです。対応策はいくつかありますが、その一つが「成年後見人・保佐人・補助人」制度です。

その人が、行為能力がなくなった場合も、「成年後見人・保佐人・補助人」制度によって、裁判所の認可を前提に不動産を売却することができます。逆に、成年被後見人・被保佐人・被補助人に登記された方の不動産を裁判所の認可なしに売却してもその契約は「無効」となります。

一方で、その人が成年被後見人・被保佐人・被補助人に登記された方であるかを知るのはとても大変です。

「登記されていないことの証明書」を法務局で取得しなければその人が成年被後見人・被保佐人・被補助人に登記されているかがわかりません。

成年被後見人・被保佐人・被補助人の不動産を売却する際に最も恐ろしいのは、親族です。私が取り扱った取引のなかに、母親が成年被後見人に登録されていましたが、息子がこれを隠して不動産を売却しようとしました。私はお母様ご本人にもお会いして、お話をさせていただきましたが、その時の会話はいたって普通です。息子が「あの家はお母さんの生活の費用として必要だから売るよ。いいね。」といい、母親も「いいよ。」とうなずくのです。この時は別の兄弟がいて、その兄弟からお母さんが成年被後見人であることが分かったのですが、そうでなければ、危うく事故になるところでした。

成年後見人等の制度は、使い勝手が悪く、改善すべきところも多いと思います。

一番は、ご本人が認知症等になる前に自らある程度の対応をとる方がいいのですが、本人も認知症になるとは思っていないでしょうし、認知症が発症していたとしてもご本人はいたって正常という意識ですから、とても難しいですね。

例えば、運転免許証の更新の時に認知症の確認をして、認知症が少しでも確認されたら、何らかの対応をとるような流れが必要かもしれません。

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