建物状況調査(インスペクション)について

中古物件を購入する場合、その建物が大丈夫か心配になりますね。
今回は、建物状況調査(インスペクション)について、お話いたします。

建物状況調査(インスペクション)とは、売却予定の中古住宅について、建築士(既存住宅状況調査技術者)が建物状況調査目視及び計測により建物の状態を検査、建物の状態を明らかにするものです。

不動産売買契約には、売主に対して契約不適合責任という責任を負わせる条文がありますが、売主買主がともに個人の場合、特約で契約不適合責任を負わないとすることが多いようです。契約不適合責任を負う契約だと売主側が売却した後まで責任が発生するので、売主様からの了解がいただけないのが現実です。

中古不動産が活発な欧米では、インスペクションは当たり前です。日本もこれに倣い、中古市場の適正な活性化を進めるためにインスペクション制度を導入しました。

まだまだ広がってはいませんが、将来的なリスクを判断するための買主側からのニーズの高まりによりだんだんと浸透しているようです。

インスペクションを浸透させる方法として、金融機関が融資の際にインスペクションを条件とするのも一つの方法だと思います。金融機関も対象物件を担保に取るので見えない瑕疵がないかの確認を行うことは重要です。住宅金融支援機構のフラット35では建物の性能が融資基準に適合しているか検査を行うことが義務付けられていますから、民間の金融機関もできるはずです。

インスペクションの結果、問題ない物件であれば、物件の価値を耐用年数ではなく物件の実態に合わせて適正に評価し融資を受けやすくする、あるいは金利を優遇するなどの対応もありかなと思います。

日本のみならず、これからの社会は再生可能な社会、持続可能な社会の形成が求められています。

使える既存住宅を取り壊して新しく建て替えることなく、きちんと手入れして快適に生活できるようにすることが求められる社会になってきます。

住宅が適正に管理・維持されることで、中古建物がより一層適正な価格で取引されることが望まれます。