『ハンチバック』
今回のブックレビューは、「ハンチバック」です。
第169回芥川賞受賞。
選考会沸騰の大問題作!「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
文藝春秋社の紹介文より
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす——。
普段、あまり小説を読まないのですが、ある人から、たまには「文学」も取り上げてもらいたい。をいうお声をいただいたことと、本作者の芥川賞受賞時におけるインタビューがとても軽妙であったことから、今回取り上げさせていただきました。
ハンチバックとは、「せむし」という意味だそうです。著作の中にもそう書かれています。「ノートルダムのせむし男」のせむしです。
差別的な意味合いもあるようですが、著者自身がそうであり、また、本書の題材の一つです。当然差別的な意味で用いられているものではありません。
芥川賞は、芸術性を踏まえた一篇の短編あるいは中編作品に与えられる文学賞である。とwikipediaには書かれています。芸術性を重んじている賞を受賞した作品だからというわけではありませんが、重い題材です。しかし、主人公は、作者のインタビューの時と同じであっけらかんとしています。こちらの心情を見透かし、自分を俯瞰しています。
この本の内容は、ある女性身障者(多分に作者)の生と性に対する意識が描かれています。これまで、健常者がタブー視してきたもの。身障者に対してタブーだと押し付けてきたものです。94ページ程の短い作品ですので、1時間程度で読めると思います。
読後感は人それぞれだと思います。正直に言いますと、本書のテーマを正面からとらえようとする私と、目を背けようとする私がいます。本テーマについて、きれいごとで済ませようとしたい心が見透かされた気分になります。それは私にとって決して心地いいものではありませんが、心地よくないと感じるのが私であることを認識させられる一冊です。
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