固定資産税の清算に係る税金

不動産取引では、不動産の売買代金だけではなく、不動産に付随する費用及び収益を清算することが一般的です。具体的には、固定資産税の案分清算や、マンション管理費修繕積立金の案分清算、賃貸している場合は家賃収入の案分清算などがあげられます。このような清算は、全国宅地建物取引業協会の不動産売買契約書のひな型にも記載されている内容で、不動産売買取引においては一般的に行われています。

今回私がお話しさせていただく内容は、固定資産税を清算した場合、固定資産税の清算額についても消費税がかかるというお話です。この意味わかりますか?私は最初理解できませんでした。以下に、整理してご説明いたします。

固定資産税は、1月1日に不動産を所有していた人に掛かってくる税金で、通常4月上旬に1年分の請求書が市役所等から郵送されてきます。

不動産売買では、例えば、起算日を4月1日として10月1日で取引が行われた場合、10月1日~3月31日分は購入者が負担するとしています。それは、所有していない期間までの税金を売主が負担するのは公平ではないという考え方に基づいた取引慣例です。

これに対して、消費税法基本通達10-1-6(未経過固定資産税等の取扱い)では、以下のように規定しています。「固定資産税、自動車税等(以下「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。」

平たく言えば、清算金は売買代金に含まれるから消費税の対象になるぞということです。

私は、一般的に考えて税金に税金が掛かることなので、消費税がかかるというのは理解できなかったので、税務署に問い合わせてみました。そうしたら担当者が明るい声で、「この場合、消費税が掛かるんですよ。」と回答してくれました。

私が、「それって、2重課税じゃないですか?」と質問すると、明るい声の担当者は、黙ってしまいました。担当者にいろいろ言っても仕方ないので、その場は「わかりました。」と言って電話を切りました。

翻って、日本の税制は2重課税がはびこっています。ガソリン税、たばこ税は典型的なものです。取れるところから税金を取るというのが政府の基本的な考え方です。その結果税制度は複雑になってしまいました。 今、国民民主党が103万円の壁と言って騒いでいますが、本質的には日本の税制度を税の基本原則に沿ってきちんと見直した方が日本にとってはいい方向に進むと思います。今回の103万円についても控除枠を広げるのではなく、税制の基本ルールは維持して、別の方法で対応することがいいのではと考えます。

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