マイナス金利政策の解除

先日、日銀がとうとうマイナス金利政策を解除しました。そもそもマイナス金利ってどういうことでしょう?

一般の銀行は、預かったお金(預金)を貸すことが仕事です。ただ、全部の預金を貸し出しに回すことはできないので余っているお金を日本銀行に預けます。バブル崩壊後、景気が悪くなったので銀行はお金を貸さない、企業は投資をしないといった状況になりました。その結果、世の中でお金が回らなくなってきました(デフレ)。

このようなデフレ状況では景気は回復しないということで、日本銀行は一般の銀行が日本銀行に預けるお金の金利をマイナスにしたのです。そうすることで、日本銀行に預けるのではなく、世の中で使ってもらってお金を回してもらおうと考えたのが、マイナス金利政策です。

黒田前総裁はマイナス金利政策などによって、物価を安定的に2%上昇させることを目標とし、デフレ脱却をもくろみました。マイナス金利政策は黒田前総裁の任期中10年以上実施され、世の中(市場)にはお金が多く出回ることになりましたが、企業は投資をしませんでしたし、個人の消費も伸びませんでした。

しかし、今年の春闘で見るように大企業の賃金がアップし、株価はバブル最高値を超えました。このような背景から、「物価を安定的に2%上昇させることができる状況になった。」と日銀は判断したのです。

では、今後日本の景気は良くなっていくのでしょうか?

  • 賃金は上昇しているようです。しかし、今回の春闘は、自発的な賃金上昇というより、国からの圧力による賃金上昇のような気がします。
  • 日本の株価は40000円を超えました。バブル崩壊から35年掛かって超えることができました。このことと、日本企業、日本経済の力が連動しているかは難しいところです。
  • 金利が上がるということは、国債の金利も上昇するということです。日本で一番借金をしているのは国です。国債の金利が上昇するということは、国債の返済負担が大きくなるということです。

不動産に与える影響も考えたいと思います。

  • 住宅ローン金利が上昇すると、住宅購入負担が大きくなるので、購入が抑制されます。
  • 不動産投資の収益率が悪くなります。
  • 物価は上昇しますので、新築不動産価格は上昇します。

結果、不動産業界は需給のバランスが悪くなる難しい環境になってくると思われます。一番怖いのは、金利上昇によって不動産の融資を返済できなくなる方が増加することです。経済環境が変わったこれから数年は、経済の動きに注意が必要だと考えます。