『全員経営』

今回のブックレビューは、「全員経営」です。
野中郁次郎氏は、「失敗の本質」の著者の一人として有名な方です。2025年1月までご健在(89歳死去)だったということです。

この本は、全員経営という言葉をキーとして高収益を続ける現場に共通する条件、組織の形、人材育成の方法をJAL、 ヤマト運輸、セブン&アイ、良品計画、未来工業など13社を事例にあげて説明しています。

基本的には、成功している13の企業の具体的な事例をあげて、その事例を野中郁次郎氏が自ら提唱した「知識創造理論」に基づき解説しています。

「知識創造理論」とは、個人の「暗黙知」と組織の「形式知」が相互に変換・増幅される「SECI(セキ)モデル」を通じて、イノベーション(知識)が継続的に生まれるプロセスを説明した日本発の経営理論で、経験やコツを共有し、言語化して組織全体で活用することで、競争優位を築くというものです。

「知識創造理論」は小難しい言葉ですが、この本では書かれている内容は、経営者及び従業員全員を、企業が目指す一つの方向に能動的に向かうことで成功していることです。言うは易し。家族3人でもなかなかうまくいかないのが実態です。ダンバー数の法則だと人間が安定的に維持できる親密な人間関係の数の上限は約150人です。それを何万人という数で構成されている大企業で行うのはとても難しいことです。それこそ、JALのように倒産に直面するとか、全員が一つになるような大きなイベントが発生しないと。(こんなイベントが発生したらそれこそ大変ですが。(笑))

対比的にちょくちょく出てくるのが官僚組織です。こんなことを書いていると官僚組織が悪いというように聞こえますが、組織の目的が異なるだけだと思います。民間と公共組織とは、そもそもの目的が異なるので、それを運営するための体制が相違するのはおかしなことではありません。 前職は銀行でしたが、銀行は官僚組織的です。民間であるのにどうして官僚組織的になるのかと思っていたのですが、それはきっと「潰れない。」からでしょう。実際は多くの銀行が潰れたのですが、潰れるという緊張感より、組織運営がしやすい官僚組織型に流されていったのだと思います。このような会社はいつの間にか社内政治の方が重要になってしまうのでしょう。

日経ビジネス人文庫
「全員経営 ー ハイパフォーマンスを生む現場 13のケーススタディ」
価格 1,100円(税込)
発行日 2025年10月04日
著者名 野中 郁次郎 著、勝見 明 著
発行元 日本経済新聞出版
ページ数 368ページ
判型 A6判

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