『日本の政策はなぜ機能しないのか?』

今回のブックレビューは、「日本の政策はなぜ機能しないのか? ーEBPMの導入と課題」です。

本原稿を書いている段階では衆議院選挙終盤ですが、「まどかリビングニュース」が皆様のお手元に届くころには結果が出ていることでしょう。 

今回は、与党にとってかなり厳しい状況のようですが、論点が「裏金・旧統一教会問題」であり、そもそも政治の前提要件のようなことが論点であることが情けない話です。日本のこれからについて、しっかりとした政策論争になっていないこと、政策論争が選挙の論点にならないことが日本にとって悲しい話です。 

光文社のこの本の紹介は、

近年、政治の世界では「エピソード・ベースからエビデンス・ベースへ」という掛け声のもと、データやファクトに基づいて政策を作り、評価する流れがある。EBPM(Evidence‐Based Policy Making)」とも呼ばれるこうした政策のあり方は、いかなる背景から生まれたのか。先駆けである英米の潮流や、EBPM以前の日本にも存在した合理的な政策と評価を目指す動きとは。そもそも、エビデンスとは何を指し、どのように扱えば有益なのか。私たちが見落としがちなこととは。そして、日本の政策はどうすれば十分に機能するのか。公共政策学の知見からエビデンスと政策の関係を整理した待望の一冊。

というものです。 

この本で書かれていますが、政策課題はしばしば「ウィキッド・プロブレム」(厄介な問題)と言われるそうです。その理由に以下の特徴があることです。 

①問題のとらえ方がステークスホルダー(利害関係者)間で異なっている ② 問題同士が相互に関連しあっている ③ 対処するための知識が不足している ④ 不確実性が高い

このような問題を有しているため、EBPMによる政策評価が必ずきちんとした評価を出せるとは言えないのですが、問題を提起し、より良い政策評価を目指そうとするのが本書の意図です。非常に若い(1990年生まれ)著者ですが、若い方からこのような本が出ることは、非常に好ましいことです。このような考え方に基づく政策評価が国民に分かりやすく公表され、それが論点となるような国政選挙になる事を願っています。

光文社新書
日本の政策はなぜ機能しないのか? EBPMの導入と課題
杉谷和哉(著/文)

発行:光文社
新書判 232ページ  定価 840円+税

書店発売日2024年7月18日

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