『ハプスブルク帝国』

今回のブックレビューは、「ハプスブルク帝国」です。

僕は世界史を履修していない。仮に世界史を履修していたとしても、ハプスブルク家を理解できなかったのではないだろうか。

ハプスブルクという名前の国家は存在しない。しかし、ハプスブルク家はドイツ、オーストリア、イタリアの一部、スペインなどヨーロッパの多くの国に王を輩出した。そもそも、日本人には王を輩出するという意味が分かりにくいが、ヨーロッパでは、有力な家系から王が選出されていた。それはローマ法王が選出される仕組みに似ていて、ハプスブルク家は多くのローマ法王も輩出している。オーストリア、ハンガリーの2つの国家の王であったりもした。現在のハプスブルク当主がハプスブルクとは何かと聞かれたときに、「ハプスブルクとはヨーロッパである。」と答えている。ハプスブルク帝国は神聖ローマ帝国とも同一に語られることもあるようで、この王家を知れば知るほど、ハプスブルク家とはいったい何なのだと思ってしまう。

西暦1000年から1000年間、ヨーロッパのどこかの国の王であったこの王家は、有名人も豊富で、世界史の教科書に出てくる人名にハプスブルク家に関係のある人を色付けしたら半分以上色がつくのではないかと思われるほどだ。断頭台の露に消えたマリーアントワネットは、マリア・テレジアの娘で、マリア・テレジアはオーストリア女大公・ハンガリー女王・ボヘミア女王で神聖ローマ皇后。ナポレオンもハプスブルクと婚姻関係にある。400ページを超えるボリュームのこの新書も、書かなければならないことが多すぎて急ぎ足でなければ間に合わない。

オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子が、サラエボを訪問中に暗殺された事件(サラエボ事件)をきっかけとして第一次世界大戦の勃発につながったのかピンとこなかった。しかし、オーストリア=ハンガリー帝国(ハプスブルク家)は、この事件をきっかけにしてドイツ手を組んで、衰えかけていたオーストリア=ハンガリー帝国の復興を目指したことが背景にあることを知った。ハプスブルク家が衰えた理由は、フランス革命など社会的な変動が要因となったこがある。結局、第一次世界大戦で敗れたハプスブルク家は1000年に及ぶ歴史に幕を下ろすことになる。

丁寧に書いてある本だけど、基礎知識がないとボリュームが多すぎて理解が難しいので何度か読んでみたいと思う。

講談社現代新書「ハプスブルグ帝国」
岩崎 周一(著/文)  発行:講談社
新書判 448ページ  定価 1,300円+税
書店発売日2017年8月17日

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