『日本経済の死角』
今回のブックレビューは、河野龍太郎著「日本経済の死角」です。「収奪的システムを解き明かす」というサブタイトルがついています。
河野龍太郎さんは、有名なエコノミストです。東洋経済とかダイヤモンドとか経済誌でとてもよくお見掛けする方です。人気エコノミスト調査でも11年連続ナンバーワンを取られているようです。現職はBNPパリバ証券株式会社経済調査本部長・チーフエコノミストということですから、バリバリのエコノミストですね。
バブル崩壊後の日本は、収奪的な社会であり、収奪的な企業である。そのことが、日本(経済)の適正な成長をゆがめている。本来であれば、社会は収奪ではなく「包摂的」でなければならない。と説いています。収奪的社会とは、ざっくりいうと企業が利益を上げても、利益が内部留保され、従業員や社会に還元されない社会。包摂的とは、収奪の対義語として述べられており、企業の利益が適切な形で従業員や社会に還元され、従業員が豊かさを享受できる社会ということです。企業だけではなく社会も、例えば非正規従業員の拡大などを助長する制度を許容することで、収奪的社会への移行に寄与したと言っています。
日本社会あるいは企業は包摂的な方に移行していかなければ、日本(経済・社会)は衰退してしまうということなので、弊社のような零細企業はどのような対応を取るべきか考えてみました。
頭に浮かぶのは、賃金を上げることです。新入社員の初任給は30万円になったとか、最低賃金を1500円までもっていくとか、ここ2,3年急に賃上げが行われています。私の場合ベースアップがないサラリーマン時代だったので、このことはとてもいいことだと思います。しかし、賃上げが政府主導で行われていることについては問題があります。社会の体制として、あるいは企業の考え方として利益が適切に配分され、再投資されるようになることが大切だと思います。
一方、経営者側に回った現在、最低賃金1500円を支払うことが出来るか?初任給30万円を払うことが出来るか?弊社にとってはとても難しい問題です。弊社と同じような規模の会社にとっても、物価上昇に伴う人件費以外のコストが上昇している中で、人件費も大幅に上昇していく社会についていけるかとても難しいものです。収益力のない会社は淘汰されていくことになります。これは正しいことだと思いますが、コロナ禍で明らかになったように、日本には多くのゾンビ企業が存在します。これまで日本社会はゾンビ企業の延命を図ってきましたが、社会の枠組みを見直す場合、ゾンビ企業は淘汰されていくことを覚悟しなければなりません。
ちくま新書
「日本経済の死角 — 収奪的システムを解き明かす」
河野龍太郎 著
定価 1,034円(10%税込)
刊行日 2025/02/05 新書判 288頁
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