住所等変更登記の義務化
不動産のお取引の際に、今年に入って司法書士がお客様のメールアドレスを記録するようになりました。急にメールアドレスを聞くようになったので、気になっていたのですが、どうも令和8年から施行される「住所等変更登記の義務化」に関連するようです。
「住所等変更登記の義務化」とは、
- 不動産の所有者(所有権の登記名義人)は、氏名若しくは名称又は住所(以下「住所等」といいます。)について変更があったときは、その変更日から2年以内に変更の登記の申請をすることが義務付けられる。
- また、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料の適用対象となる。ことです。
先に施行された「相続登記の義務化」と同様に、所有者不明土地問題を解消するための施策のようです。
では、なぜメールアドレスが必要になるかというと、メールアドレスで個人を特定するからです。今回の制度の施行に合わせて、「スマート変更登記」という制度も運用されることになります。どのようなことかというと、個人の場合、「検索用情報の申出」をすると、住所等の変更があるたびに自分で登記申請をしなくても、その後は法務局で住所等変更登記をすることとし、義務違反に問われることがなくなります。この、法務局が職権で住所等変更登記をするサービスが「スマート変更登記」です。個人の場合、個人を特定できる情報は「氏名のフリガナ・生年月日・メールアドレス」が該当します。
戸籍においても氏名のフリガナが記載されることになりますが、同様の流れだと思います。
「住所等変更登記の義務化」や「相続登記の義務化」はどのようなメリットがあるのでしょうか。
建前上は、所有者不明土地問題を解消するための施策ということですが、疑り深い私は、最も大きなほかの理由があるような気がします。個人が保有する預金や株式などはすでに個人と紐づいており、特定が容易です。しかし、日本人が持つ資産の半分の不動産については、不動産所有者に対する登記ルールが義務ではなかったため、かなり未整備な状況です。不動産情報がしっかりと整備できれば、国家としてもメリットは大きいことが容易に想像されます。
ちなみに法人は、必ず「会社法人等番号」を提出しなければなりません。 国家から個人の資産情報が特定される状況は怖い気もします。一方で法を順守する社会・公平な社会を構築していくためには必要なことかもしれません。既にマイナンバー制度が運用されており、国家が個人や法人の資産を管理できる状況にしていくことは必然の時代なのでしょう。
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