ノーベル平和賞受賞の演説に関するマスメディアの報道について

新年の独り言なので、明るくハッピーな内容にしたいのですが、元来より、批評・批判してしまう性格でどうしても言いたいことがあります。それは、今回ノーベル平和賞を受賞した被団協の代表委員 田中熙巳さんの演説に関するマスメディアの報道についてです。

田中さんのスピーチは当然田中さんが書かれたものだと思いますが、ノーベル賞授賞式で発表する内容ですので、事前に行政等からのチェックが入ったと思います。田中さんはスピーチで当初の原稿にない言葉を発しています。それは以下のような内容です。

『1994年12月、この2つの法律を合体した「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」が制定されました。しかし、何十万人という死者に対する補償はまったくなく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けております。もう一度繰り返します、原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府はまったくしていないという事実をお知りいただきたいというふうに思います。』

この言葉は、被団協が長年訴え続けて実現していない日本政府の国家補償対応への批判です。

田中さんは2度繰り返しています。もっと言うなら、被団協設立当初から訴えていたことです。しかし、私が知る限り、このことを取り上げているテレビや新聞はありません。少なくとも、NHKと読売新聞は取り上げていないはずです。テレビのモーニングショーでも取り上げられなかったと思います。マスコミが取り上げたのは、ノーベル平和賞を受賞した。良かった。良かった。という内容ばかりです。

田中さんが当初の原稿にないこの言葉を2度繰り返して訴えたことを、マスコミは伝えるべきだと思います。マスコミは何を忖度したのでしょうか?
ジャニーズ問題で、ほとんどのマスコミは報道の在り方を見直すと言いました。今回、このことを取り上げないマスコミは、いったい報道の在り方をどのように見直したのでしょうか。

日本のマスコミは、視聴者受けばかりをもとめるのではなく、大切な時に報道者としての矜持を持ってもらいたいと思います。

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