ノーベル物理学賞
今年のノーベル平和賞を、「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」が受賞しました。心よりお喜びを申し上げます。一方で、世界の情勢は悪化の一途をたどっています。国家の欲望は、人の欲望にほかなりません。今回のノーベル賞受賞が、現在の社会情勢を平和に転換させる一助となることを期待しています。
さて、私の今回の独り言は、ノーベル物理学賞に関するものです。
今回ノーベル物理学賞は、「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明」の功績で,米プリンストン大学のホップフィールド(John Hopfield)名誉教授とカナダのトロント大学のヒントン(Geoffrey Hinton)名誉教授に授与されました。今,最も注目が集まっている人工知能(AI)の根幹である人工ニューラルネットワークの基礎を築いた研究です。
実は、私は1995年にニューラルネットを使って仕事をしていました。
当時、銀行は大量の顧客データをコンピューターでぶん回して、顧客の消費者性向を見つけようとすることが盛んにおこなわれていました。CRM(Customer Relationship Management)と言い、顧客に関する情報を管理・分析して、顧客との関係を構築・促進する経営やマーケティングがあります。その手法の一つにニューラルネットの考え方が使われていたのです。大量データをニューラルネットの考えた方を用いて、顧客の属性と購買性向の因果化関係を見つけようとする試みです。残念ながら、金融機関でコンピューターで顧客の大量データをぶん回して、いわゆる CRM(CustomerRelationship Management)を成功した事例は聞いたことがありません。私もまったく成果を上げることができませんでした。大量の顧客データをコンピューターでぶん回してマーケティングで成果を出したのは、アマゾンが最初のほうではないでしょうか。多分、ニューラルネットが利用されていると思います。
今でこそ、人工知能(AI)とか、普通に聞かれる言葉ですが、1995年当時は、AI という言葉はありませんでした。そんな時代に、私は IBM のニューラルネットの理論に基づくマーケティングツールを使っていたのです。IBM はその時からニューラルネットを活用しており、アマゾンは AI を駆使してCRM を成功させました。そして、今年のノーベル化学賞はニューラルネットを活用した google の研究者です。
アメリカの企業と日本の企業の力の差を感じさせられた今年のノーベル賞でした。