「人権」について
今回は、ジャニーズ事務所の問題から派生した「人権」について
2023年8月に再発防止特別チームが調査報告書を出した以降、ジャニーズに対しての周りの対応は大きく変わりました。その調査報告書の中で「マスコミの沈黙」として責任を糾弾されたマスコミ大手各社は当日あるいは翌日に反省を込めたコメントを発表しました。そこに表現の違いこそあれ、「人権を尊重していく」ことの決意が示されていました。
2023年9月20日、衆議院議員杉田水脈氏が7年前のブログなどでアイヌ民族を差別する投稿を行ったことについて、札幌法務局は人権侵害にあたると認定し、議員側にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行ったことが分かりました。
同日のNHK午後9時のニュースのトップは岸田総理の国連演説だったと思います。岸田総理は現在の国際情勢を踏まえ、「人間の尊厳」が守られる平和で安定した世界が求められていると指摘し、実現に向けて、国際社会が協調して一連の課題に対応していく重要性を訴えました。同じニュースの枠内ではジャニーズが社名変更について検討していることについて5分ほどの時間をとっていましたが、杉田氏の件はその時間のニュースでは報道されませんでした。
岸田総理は国連で「人間の尊厳」が大切であると訴えましたが、松野官房長官は、9月20日午前の記者会見で、一般論として差別があってはならないという発言に留まり、杉田氏について具体的に何かを言うことはありませんでした。
杉田氏本人は9月22日現在、何のコメントも発していないようです。
マスコミの「人権を尊重」するといった決意とは一体何だろうか?
岸田総理のいう「人間の尊厳」とは一体何だろうか?
2023年9月20日、「人権の尊重」「人間の尊厳」というものが、日本人あるいは日本社会ではこんなにもあやふやでもろいものだと気づかされた1日でした。 現在、ジャニーズは叩かれています。それはまるで切られたトカゲのしっぽのようです。ジャニーズの件が、はたして日本社会において「人権の尊重」「人間の尊厳」というものをもう一度考え直す契機となるのか。私もこの社会の一員として今回は敢えてこの話題をとり上げました。