危険な盛土等

盛土等による災害から国民の生命・身体を守る観点から、盛土等を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」、令和4年5月27日公布)が、令和5年5月26日から施行されました。

きっかけとなったのは、不適切な盛り土が原因で発生した熱海の大規模な土石流災害です。

2023年7月のNHKニュースの引用ですが、土石流の起点に不安定な盛り土が残ったため、川沿いは警戒区域に指定され、立ち入りが禁止されてきた影響で被災地では宅地などの復旧工事が進んでおらず、多くの被災者が今も生活再建の見通しを立てられずにいます。おととし7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流では、地区を流れる川の上流部に違法に造成された盛り土が崩れ、災害関連死も含めて28人が犠牲となりました。

建物の被害は住宅など136棟にのぼり、2023年6月末の時点で124世帯、217人が地元を離れた暮らしを余儀なくされていて、多くが公営住宅や賃貸住宅を活用した「みなし仮設」に入居しています。

本事件については、元土地所有者、現在の土地所有者を被告とする裁判と、静岡県及び熱海市を被告とする裁判が行われています。

裁判においては、それぞれの被告が法的責任はないと主張しています。

日本は法治国家です。基本的には法に基づき様々な争いを判断していきます。一方、法は万能ではありません。すべての事項を網羅しているわけではありません。過去と現在とでは、社会のルールや考え方、さまざまな価値判断も変わってきます。

例えば、本件において、現行法での法的責任を問うことが難しい場合、それは無罪となるものでしょうか? 今回、新たに法が制定されましたが、きっとまた別の問題が起こって、新たな法が制定されます。永遠にイタチごっこが続くのでしょう。

法的責任だけであれば、法の抜け穴を通り抜けたものが勝つということになりかねません。法の精神に則ったコンプライアンス(法令順守)も必要があるかもしれません。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です