原爆裁判
NHK の朝ドラ「虎に翼」も、このまどかリビングニュースがお手元に届く時には終わっています。最初から見ているわけではありませんが、出社のタイミングが BS
の放送時間と丁度良い塩梅だったので、7 月末あたりから見ることが多くなりました。今日の独り言は「虎に翼」の話ではなく、「虎に翼」で取り上げられた原爆裁判のことです。
⾧崎に生まれた私が、物心ついたときには原爆被害者の補償はすでに行われていたと思います。だから、原爆裁判で原告が負けたと思ってもみませんでした。原爆訴訟裁判で被ばく者である原告が負けたことを知ったのは驚きでした。裁判は敗訴になりましたが、130 ページに及ぶ判決文は、法だけでは乗り越えられないものを乗り越えなければならないという強い意志が現れています。
以下、判決文の最後の部分です。
「被告(国)がこれに鑑み、十分な救済策を執るべきことは、他言を要しないであろう。しかしながら、それはもはや裁判所の責務ではなくて、立法府である国会及び行政府である内閣において果たさなければならない責務である。しかも、そういう手続きによってこそ、訴訟当事者だけでなく、原爆被害者全般に対する救済策を講ずることができるのであって、そこに立法及び立法に基づく行政の存在理由がある。終戦後十数年を経て、高度の経済成⾧を遂げたわが国において、国家財政上これが不可能であるとはとうてい考えられない。われわれは本訴訟をみるにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおれないのである。」 ()は筆者が加筆
原爆裁判が敗訴であったことは、個人的にはショッキングなことでした。一方で、裁判には負けたけど、救済が行われたことも驚きです。
虎に翼では、どのような流れで救済がスタートしたのかまでは詳しく語られていませんが、この敗訴した裁判が被爆者への補償の大きな一歩であったことはわかります。
敗戦から80年。被爆者のほとんどがなくなってしまいました。しかし、原爆はいまだに訴訟が行われています。9 月にも一つの判決が出て、国が控訴を行い、岸田首相が折衷案を提示しました。 戦争責任について考えた⾧くて暑い夏が、そろそろ終わります。